終身保険

有配当終身保険

R.Oku
2012/01/01

有配当終身保険は配当金が受け取れる終身保険です。

配当金とは

保険料は保険金支払いに回る部分=純保険料と保険契約の募集や維持管理に掛かる経費部分=付加保険料の合計で計算されています。(下図参照)
これらの内訳は長期にわたる期間中常に一定ではありあません。予定より死亡者が少なければ当然保険金の支払いが減って余剰が生じます。また預かった保険料の運用益(損)が発生する可能性もあります。あるいは募集や維持管理のコストも変動します。これら三つの要素をそれぞれ死差、利差、費差とよび、そこから発生した利益を死差益、利差益、費差益といいます。また三つあわせて配当の3利源といいます。この3利源から利益が発生した場合その一部が契約者に還元されます。この分配金のことを配当金といいます。

しかしこの還元率の基準は明確に公表されていません。そのため配当金が受け取れるかどうかは保険会社まかせになっているのが実状といえます。

有配当終身保険は相対的に保険料が高い

上記のように、保険会社は配当金として返せる可能性がある部分も保険料に含めていますので、当然保険料は割高になります。

言い換えれば、配当金とは、取りすぎた(割高だった)保険料を後から返すしくみと考えればわかりやすいでしょう。
しかし、バブルの崩壊後運用金利の低下により保険会社は予定通り運用ができなくなり、逆ざやが発生し、配当金は長期にわたって支払われない期間が続いています。
本来それは利差益が出なくなったと言うことであり、3利源の他の利源=死差益、費差益では多くの利益を出しているにもかかわらずこれらの利益で利差損を相殺しているのです。
これは後に大きな問題となりました。しかし大手生保の破綻をおそれた政府はこの問題を結局うやむやにしてしまいました。

市場から消える有配当保険

長い間販売されてきた有配当終身保険、現在でも加入者は最も多い。
最近では有配当終身保険の販売をする保険会社もほとんどなくなってしまいました。かわって登場したのが3利源の内の利差のみ配当する「利差配当終身保険」や「5年ごと利差配当終身保険」です。保険料は有配当終身保険より少し安い。


ついこの間まで国内生命保険会社といえば、この有配当保険だけしか販売していませんでした。
国内生保は有配当、外資は無配当という大きな色分けができていました。
しかし、保険の自由化によって損保系生保の大量参入によりこの色分けは変化してきました。

配当金とは、簡単に言えば、保険会社にとっての経営の安全のため高めに取っている保険料を後で返す仕組みだといえます。
しかしそれでも日産生命、東邦生命、千代田生命、協栄生命、東京生命、第百生命といった保険会社が配当金も払うことなく破綻していったのは記憶に新しい事です。どんな経営をしていたのか疑問に思うのは私だけでしょうか?