保険選びのヒント・アイデア

生命保険選びは「保障比較」から始めると失敗する確率が高くなる

T.Kinoshita
2012/01/01


保障額と保険料から保険を選ぶとこんなことに・・・

実証してみましょう。

仮に35歳の男性がいます。愛する妻と子供が一人。来月二人目が生まれます。これから生まれてくる子どものことを考えると、あと30年は頑張らなければいけないなと考えています。愛すべき夫であり父です。

さて彼は愛する家族のために、自分に万一のことがあった場合に備えて生命保険を検討することにしました。

彼が月に支払える保険料は2万円程度。30年間2万円の保険料を支払ってどれくらいの保険には入れるのか保険会社から資料を請求して調べてみました。

送られて来た資料は3種類です。
皆さんも一緒に考えてみてください。

30年間、月2万円を支払って加入できる生命保険(35歳男性です)


比較

皆さんはどれを選ぶでしょうか?
保険料と保障額から比較すると、ほとんどの方が最も保障額の大きい4500万円のAを迷わず選択するのではないでしょうか?
Aは保障額で比較するとBの4倍弱、Cの6倍弱ですからネ。

しかし、上記3つの生命保険を詳しく調べてみると次のようなことがわかりました。

タイプAの生命保険(定期保険)


比較

この保険は保険期間中(35歳~65歳)に死亡した場合は保険金4500万円が受け取れますが、65歳までに死亡しなければ保険金は支払われることなく終了します。つまり30年間に支払った保険料720万円はそのまま掛け捨てとなります。

このような保険を定期保険(保険期間を定めた保険)といいます。(「定期」という名称から定期預金を連想して、掛け捨ての保険ということをわからない人が多いようです)

タイプBの生命保険(終身保険)


比較

この保険は、1200万円の保障が保険料払い込み期間中(65歳まで)だけでなく、一生涯続くタイプです。 人間はいつかは必ず死にます。という事は、この保険は必ず保険金を受け取れる(100%受け取れる)保険といえます。 総額720万円を支払っても必ず1200万円をいつかは受け取れます。 つまり掛け捨てになりません。必ず収支がプラスになる保険です。

このように、保険期間が一生涯続く保険を終身保険といいます。 終身保険には解約返戻金があります。保険料の支払が終わった後ならほとんどの場合解約返戻金は総支払額以上になります。 解約してもプラスになります。

タイプCの生命保険(養老保険)


比較

この保険は保険期間が65歳で終了するという点ではAタイプと同じです。 したがって、死亡保険金は65歳までに死亡した場合のみ支払われます。 しかし、この保険の場合は65歳までに死亡せずに生きて満期を迎えても死亡保険金と同額の800万円(満期保険金)が支払われます。

この様な保険を養老保険(生死混合保険)といいます。

ここでチョッと意地悪な質問をしてみます


日本はご存知のように世界一の長寿国です。65歳まで生存できる確率は90%を超えています。
あなたはお子さんが誕生した時、お爺ちゃんやお婆ちゃんに祝ってもらいましたか?
では今度はあなたはご自分の孫の顔を見れると思いますか?これから生まれてくるあなたの赤ちゃんが成長し成人し結婚し子供をもうける・・そのお子さん(あなたの孫になります)の顔を見ないまま死んでしまうと思いますか?
「孫の顔は見れるだろう」と考えているなら自分が長生きできると考えている証拠です。

さて以上のことがわかった上でもう一度選びなおしましょう。
今度はA、B、Cの内どのタイプを選ぶでしょうか?

ほとんどの方が今度はBを選んだのではないでしょうか?
実際セミナーなどでこのようなお話をするとほとんどの方がBを選びます。

答えがでましたね


保障額の比較だけにとらわれるとほとんどの方はAのタイプ「定期保険」を選んでしまうということです。
でもあなたが最終的に加入したかったのはBのタイプ「終身保険」ではなかったでしょうか?

話は終わりではありません。説明を付け加えます


念のためにお聞きします。
皆さんが加入している生命保険は上記のAのタイプですか?BタイプですかCタイプですか?
30代〜40代の方のセミナーで上記の話をした後にお聞きしています・・
するとほとんどの方は、自分の加入している保険はBタイプ(終身保険)だと答えます。

ではご加入の生命保険の補償額はいくらぐらいで加入していますか?
ほとんどの方は3000万〜4000万くらいと答えます。
生命保険文化センターの発表している全世帯平均死亡保障額が3696万円ですから、だいたいそんなところで間違いは無いと思います。

でも、おかしいですね・・・!
見ていただいたように、終身保険(Bのタイプの保険)だと35歳の若さでも毎月20000円の保険料では1200万円の保障しか買えません。
仮に3000万円の保障なら保険料は20000円の2.5倍の50000円になります。
死亡保障だけで月々50000円の保険料です。
さらに、皆さんの加入している生命保険は、入院の保障や三代疾病の保障やさらには介護の保障やら家族の保障までセットされた(パックになった)保険になっていませんか?

くりかえします・・
35歳の若さでも月々20000円前後の保険料で65歳払い済みで3000万円くらいの終身保険というのはあり得ません。 しかも入院や家族の保障まで付いているなら終身保険(Bのタイプの保険)でないことは明らかです

定期保険(Aのタイプ)でなければ不可能です。
よく証券を見て下さい。
『・・定期・・』の文字が一杯記載されていませんか?あるいは『・・終身移行・・』『・・更新型・・』など不可解な文字が記載されていないでしょうか?
これらは、限りなく「掛け捨て」のAのタイプ(定期保険)に近い保険と言っていいでしょう。
にもかかわらずほとんどの方がご自分の加入しているのはBのタイプ(終身保険)だとお答えになるのはなぜなのでしょうか?

勘違いしているのはあなただけではありません。本当に多くの方が勘違いしているのです。定期の意味もわからないのです。 名の通った一流の保険会社だから信用して保険の設計を任せたという方がほとんどです。ご夫婦で一緒に検討した方も多いでしょう。

勘違いの責任はあなたにあります。
保険料2万円では35歳の若さでも3000万の保障を求められたら、どんなに大きな生命保険会社の超一流のセールレディーさんでもBのタイプ(終身保険)を設計することはできないのです。しかも入院やらガンやらをパッケージして・・となったら、どんなに大きな生命保険会社の超一流のセールレディーさんでも限りなく「掛け捨て」のAのタイプ(定期保険)に近いものしかあなたには提案しないでしょう。
最初からBのタイプ(終身保険)の選択肢は無視されてしまう確率が高くなるのです。

保険選びのヒントになりましたでしょうか?選ぶのはあなたです。

月々20000円でも65歳まで支払えば720万円になります。720万円という大金をどう活用してあなたの愛する家族を守るのか!

間違いは許されません。保険はかけがえのない愛情表現なのです。

そう考えるのは私だけでしょうか?

もちろん自分は絶対早死にすると思っていらっしゃるのなら迷わずAの「定期保険」を選択するのが正しいのです。