定期保険

低解約返戻金定期保険

T.Kinoshita
2012/01/01


超長期の定期保険の特徴は理解できましたでしょうか?
超長期の定期保険には解約返戻金がありますが、「低解約返戻金定期保険」は「超長期の定期保険」の一定の期間の解約返戻金の額を通常の70%に抑えた定期保険です。

頭を柔軟にして考えましょう

解約返戻金が一定期間少ないということはデメリットに聞こえますが、その分保険料が安くなります。つまり同一の補償額だったら通常の長期定期保険より安くなります。また、一定期間を経過すれば解約返金の額も通常の長期定期保険と同じになりますので、解約返戻率(解約返金の額/支払った保険料総額)はこの低解約返戻金定期保険の方が高くなります。

具体的にサンプルを見てみましょう。

100歳定期保険の説明で使用した例を使います。
再度繰り返します。

あなたの年令が30才とします。子供が独立するまでの一定の期間の保険を考えた場合、通常は20年とか25年とかの定期保険に加入しますが、あえて保険期間99歳満期の定期保険に加入したらどうでしょうか?そして20年や25年が経過した時点でこの保険を解約します。どちらの方法も結果としては20年もしくは25年間の保障があったことに全く変わりはありません。

分かりやすく書いてみます・・・

最初の方法をAの方法とします。
もう1つの方法をBの方法とします。
さらに「低解約返戻金長期定期」を使う場合をCの方法とします。

保険金額2000万円で比較。Aは20年で期間満了します。BとCは20年目で解約します。
保険料は月払い、保険料支払い期間はAが全期払い、BとCは短期払い20年です。
Cの低解約返戻期間は20年(=保険料払い込み期間)とします。

加入
方法
加入する
定期保険の
保険期間
月払い
保険料
20年間で
支払う保険料
保険期間満了時
もしくは解約時の
受取額
20年間の同じ保障に
対する実質負担額
期間20年 5,620円 1,348,800円 0円 1,348,800円
99歳満期 50,100円 12,024,000円 12,616,000円 0円
99歳満期 44,560円 10,694,400円 12,616,000円 0円

いかがでしょうか?

【解説】
Bの方法、Cの方法ともに20年経過時で保険を解約すると、それまでに支払った保険料以上の解約返戻金が受け取れます。したがって20年間の保険料は実質タダであったと考えることができます。通常の期間20年の定期保険の保険料1348800円が実質無料となり、且つBでは12616000円が戻ります。払い込み保険料に対して592000円のプラスですから、合計1940800円得したことになります。 同様にCでは、払い込み保険料に対して1921600円のプラスとなり、合計で3270400円得したことになります。

計算
[Bの場合]
12,616,000 - 12,024,000 + 1,348,800 = 1,940,800円
[Cの場合]
12,616000 - 10,694,400 + 1,348,800 = 3,270,400円
[BとCの差]
3,270,400 - 1,940,800 = 1,329,600円
Cの方がBに対して1,329,600円得になります。

次にBとCの払い込み期間を30年(Cの低解約返戻期間=30年)とした場合も見てください。

保険金額2000万円で比較。Aは20年で期間満了します。BとCは20年目で解約します。
保険料は月払い、保険料支払い期間はAが全期払い、BとCは短期払い30年です。
Cの低解約返戻期間は30年(=保険料払い込み期間)とします。

加入
方法
加入する
定期保険の
保険期間
月払い
保険料
20年間で
支払う保険料
保険期間満了時
もしくは解約時の
受取額
20年間の同じ保障に
対する実質負担額
期間20年 5,620円 1,348,800円 0円 1,348,800円
99歳満期 36,740円 8,817,600円 9,246,000円 0円
99歳満期 31,300円 7,512,000円 6,484,000円 1,028,000円

いかがでしょうか?興味深い結果といえます。

【解説】
Bの方法ではそれまでに支払った保険料以上の解約返戻金が受け取れます。したがって20間の保険料は実質タダであったと考えることができます。通常の期間20年の定期保険の保険料1348800円が実質無料となり、且つ9246000円がもどります。払い込み保険料に対して428400円のプラスですから、合計1777200円得したことになります。
しかしCでは、低解約返戻期間中の解約ということになりますので、払い込み保険料に対して1028000円のマイナスですから、1028000円が20年間の保障に対する実質保険料となり、Aに対して320800円の得となるだけです。これでもAよりはメリットがあることになりますが・・・。

計算
[Bの場合]
9,246,000 - 8,817,600 + 1,348,800 = 1,777,200円
[Cの場合]
1,348,800 - 1,028,000 = 320,800円
[BとCの差]
1,777,200 - 320,800 = 1,456,400円
Bの方がCに対して1,456,400円得になります。

これで分かるように「低解約返戻金定期保険」は低解約返戻期間中に解約した場合は通常の定期保険のおよそ70%の解約返戻金しかありません。したがってこの保険のメリットを充分生かすことが出来ません。しかし低解約返戻期間を経過すれば通常の定期保険と同額の解約返戻金が受け取れますので、保険料が安い分返戻率が高くなります。高い資産形成機能を活用できるといえます。


【このFripでは次の点に注目して下さい】

SAMPLEとして保険金額1000万円の低解約返戻金型定期保険を使いました。

  • 加入年令で保険料はどのくらい変わるのかを見てください。
    (30歳で加入した場合と50歳で加入した場合の2パターン)
  • 保険料払い込み期間を変えると保険料はどう変化するのかを見てください。
    (30歳加入の場合・・保険料支払い期間50歳までと65才まで)
    (50歳加入の場合・・保険料支払い期間65歳まで)

それぞれのパターンで保険料支払総額と解約返戻金の関係の変化を見てください。

  • 保険料支払い期間中は解約返戻金が総支払い保険料の額を下回っている事を見て下さい。
  • 保険料の支払い期間を延ばすと保険料は安くなりますが、低解約返戻金型定期保険では保険料支払総額が保険金額1000万円を超えるケースはない事を見てください。
  • 全期払いはできない事を見てください。
  • どんな場合でも解約返戻金の額が保険金額(1000万円)以上になることは無いことを見てください。
  • どんな場合でも解約返戻金は最終的には0になることを見て下さい。

注意すること。

この保険は保険会社によって取り扱っていない保険会社もあります。また保険会社により取扱方法もかなり異なります。低解約返戻金の期間を自由に設定できなかったり(通常は保険料支払い期間と同一で最低10年以上)保険料そのものや解約返戻率も異なりますので、比較には専門の代理店に相談することをお勧めします。
(保険料支払い期間に関係なく低解約返戻期間を設定可能な保険会社もあります・・主に法人向けの設計になります)

リスク細分型の低解約返戻金型定期保険を取り扱っている保険会社もあります。

この低解約返戻定期保険は長期平準定期保険(100歳定期など)同様、前述の高い貯蓄性(資産形成機能)を活用してこそ真価が発揮できる保険と考えるのが間違いはありません。

参考項目:低解約返戻終身保険