保険料の高い安いに関係のある要素 | |
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保障の内容とは関係のない要素 | 保障の内容による要素 |
加入年齢 保険期間 保険料払込期間 免責期間 解約返戻金の有無 (死亡給付金の有無) (無事故給付金の有無) |
入院給付日額 1入院支払い限度日数 通算入院支払い限度日数 手術給付金の額 特約(Option) |
医療保険
医療保険(入院保険)選びのヒント
S.Sakashita
2009/1/15
高まる医療保険へのニーズ
最近医療保険が人気を集めています。高齢化社会を反映して、長くなった老後の不安定要素である健康への保障に関心が高まっているのでしょう。また公的な保障の先細り感があることも医療保険への関心に拍車をかけているものと思います。
かっては外資系生保が独占していた医療保険マーケットですが、保険の自由化によって損保系生保が参入し、さらには今まで見向きもしなかった大手生保まで参入。
またこの分野は第3分野と言われ損害保険会社でも参入が可能なため今では損害保険会社も参入して実に様々な医療保険が販売されるようになり市場には商品があふれています。医療保険は通信販売でも販売される商品があり、テレビCMなどもいやと言うほど流れてきます。
このような中から自分にあった医療保険を選ぶのはチョッとしたパニックにもなりかねません。
テレビでやっていたからいいのか?保険料が安ければいいのか?保障の内容まで比較しようとすると頭が混乱してくるかもしれません。
ここでは、理解しやすく分類をしてみたいと思います。
分類整理することで少しでも安い保険料で自分にあった医療保険を選べるようになればいいのですがどうでしょうか?
医療保険の分類
医療保険はわかりやすく入院保険などとも呼ばれますが、基本形はその名のとおり病気やケガで入院した時にその入院日数に応じて受け取れる入院給付金と、所定の手術を受けた場合に受け取れる手術給付金の2つの給付がセットになったものをいいます。病気にはもちろんガンも含まれます。
○まずは分類項目を整理してみましょう。
こんな感じです。項目ごとに比較していきましょう。
保険期間、保険料支払期間で比較。
終身医療保険
保険期間が終身(一生涯)の医療保険をいいます。保険料の払込期間は終身とは限りません。
保険料払込期間が終身の保険を終身払い、保険料払込期間が定まっている保険を短期払いといいます。

(終身払いの終身医療保険)

(短期払いの終身医療保険)
保険料の支払いも終身にすると保険料は安くなります。一方保険期間は終身でも保険料の支払い期間を短く設定すると
月々の保険料は高くなります。但し長生きすると支払う保険料の総額は短期払いの方が安くなります。
早く死亡する確率よりも長生きする確率の方が高いので保険料を短期払いにした方が得になる確率は高いと言えるでしょう。しかし高齢になってから加入する場合は
短期払いにできないケースもあります。仮にできても月々の保険料はかなり高くなります。高齢化社会を反映して60歳以上から医療保険に加入したいという方も
増えてきました。その様な場合は終身払いでもやむを得ないでしょう。また次に説明する定期の医療保険を選択し更新するのも手かもしれません。
特殊な終身払い
アフラックの終身医療保険「エバー」(日本で一番売れているそうです。パンフレットにそう書いてあります)と言う商品には
「エバーハーフ」と言う商品があります。「エバーハーフ」は終身払いですが、60歳または65歳までは保険料が高めで、60歳または65歳からは
それまでの保険料が半額になります。
また、損保ジャパンひまわり生命の終身医療保険08型「健康のおまもり」(以前は「ワハハ」と言っていました)は、5年以上病気やケガで入院しなければ5年ごとに保険料が10%ずつ
下がっていく(最高5回まで割引可能)という変則なタイプもあります。
アフラックの終身医療保険「エバー」と損保ジャパンひまわり生命の終身医療保険「健康のお守り」を比較
【30歳 男性】
入院給付金日額5000円(入院初日から)、1入院支払い限度日数60日
手術給付金:手術により5万、10万、20万(+手術見舞金25000円=「健康のお守り」のみ)
保険会社 | 商品名 払込期間 |
月払い 保険料 |
65歳で死亡した場合 | 80歳で死亡した場合 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
それまでに 支払った 保険料総額 |
死亡 保険金 |
解約時 返戻金 |
それまでに 支払った 保険料総額 |
死亡 保険金 |
解約時 返戻金 |
|||
アフラック | エバー 終身払い |
1,750 | 735,000 | 0 | 0 | 1,050,000 | 0 | 0 |
エバーハーフ 変則終身払い*1 |
1,940 | 756,600 | 0 | 0 | 931,200 | 0 | 0 | |
エバー 60歳払い済み |
2,465 | 887,400 | 0 | 0 | 887,400 | 0 | 0 | |
損保ジャパン ひまわり生命 |
終身医療保険08型 健康のお守り 終身払い |
1,660 | 697,200 | 0 | 0 | 996,000 | 0 | 0 |
終身医療保険08型 健康のお守り 変則終身払い*2 |
2,155 | 647,100 | 0 | 0 | 841,500 | 0 | 0 | |
終身医療保険08型 健康のお守り 60歳払い済み |
2,300 | 828,000 | 0 | 50,000 | 828,000 | 0 | 50,000 |
*1)60歳以降の保険料は970円となります。
*2)5年ごとに5日以上の入院がなければ保険料が10%ずつ下がる。最大5回まで。上記の例では加入時2,155円から5年ごとに1,940円、1,725円、1,510円、1,080円となったと仮定して計算。
比較のため資料を請求するときは必ず設計書も請求しましょう、そして実際に電卓をたたいて確認しましょう。上記の表もそうやって地味に計算したものです。
定期医療保険
保険期間の定まった医療保険を『定期医療保険』または『医療保険(定期型)』といいます。定期医療保険には年満期と歳満期があります。

(年満期の定期医療保険)

(歳満期の定期医療保険)
年満期の定期医療保険
保険期間が年単位で定まった定期医療保険をいいます。保険期間中の病歴に関係なく自動更新することができます。更新時の年齢の保険料に変わります。
自動更新後の期間は契約時の保険期間と同じ期間となります。(10年満期であれば更新後の保険期間も10年)
何歳まで更新できるかは保険会社によって異なります。(80歳、90歳が多いようです)
保険期間が短いほど保険料は安くなります。ただし更新ごとに保険料が上がっていきますので、払込保険料の合計は保険期間を長くした方が安くなります。
歳満期の定期医療保険
保険期間が年齢で定まった定期医療保険をいいます。歳満期の医療保険は満期時に更新することができないことがあります。(保険会社によって更新できるところもあります)
更新できない場合、満期時に新たに医療保険に入りなおすことになります。健康状態や年齢によっては保険に加入できないこともあります。
三井住友きらめき生命の新医療保険(低解約返戻金特則付)無配当 定期型
【30歳 男性】
入院給付金日額10,000円(入院初日から)、1入院支払い限度日数60日
手術給付金:手術により10万、20万、40万
入院初日から5日までは一律50000円給付
70歳まで加入したと仮定
保険期間 | 保険料 期間中支払保険料総額 通算支払保険料総額 |
|||
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10年 | 30歳~ | 40歳~ | 50歳~ | 60歳~ |
2,670 320,400 320,400 |
3,160 379,200 699,600 |
4,350 522,000 1,221,600 |
7,080 847,200 2,068,800 |
|
20年 | 30歳~ | 50歳~ | ||
2,710 650,400 650,400 |
5,180 1,243,200 1,893,600 |
|||
70歳 | 30歳~ | |||
3,340 1,603,200 1,603,200 |
前述の、アフラックや損保ジャパンひまわり生命「健康のお守り」と比較したかったのですが、アフラックでは定期医療保険を販売していません。
また、損保ジャパンひまわり生命「健康のお守り」は定期タイプの場合1入院の限度日数が最低120日型以上となります。
上記の三井住友きらめき生命も入院日額を5000円としてそろえて比較したかったのですが、同社の最低保険料の1500円以上になるようにあえて倍の日額10000円の保障で掲載しました。
比較のため資料を請求するときは必ず設計書も請求しましょう、そして実際に電卓をたたいて確認しましょう。上記の表もそうやって地味に計算したものです。
■終身払いの怖さ・・・
単純に保険料の安さから「終身払いは」とても加入しやすいと思われがちです。でも、想像してください。高齢になってボケがきて(失礼)保険料をうっかり払い忘れたら・・・2か月で失効となり契約はなくなります。それまで支払った保険料はすべてパーです(解約返戻金無しのタイプの場合)。また、その年齢から再契約はおそらく不可能でしょう。・・・終身払いは忘れずに死ぬまで支払いが必要なのです。
特に女性は通常男性よりも長寿です。男は一般的には妻に最後を看取ってもらえますが、妻は一般的には子供に看取られます。(一般的な話です)
長生きできるからといっていつまでも頭もしっかりしているとは限りません。高齢の母の金銭管理まで引き受けるのは子供にとっては結構いやなものです。兄弟間の争いの種にもなりかねません。
母親が入っている生命保険が一生払い続けないと効力がなくなってしまうと考えたら子供も責任を感じるでしょう。子供たちの負担を軽減しようとして加入したはずの保険で子供達を悩ませる結果になりかねません。
この保険はもう保険料の支払いは終わっているから、万一の時には使ってね・・。といって証券を手渡されれば子供たちも安心して面倒を見てくれるのではないでしょうか?
そう考えるのは私だけでしょうか?